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<研究1部報> バンコク色彩見聞録

COLOR No.161掲載

 反政府デモ真っ只中の1月末、前号掲載の「タイにおける色彩意識共同調査」を無事バンコクで行いました。会社員と大学生615名にのぼる会場調査でした。参加企業への報告も終え、充分な成果が得られたと思います。
 さて、その調査の準備と立会いのため1/26〜30の間バンコクに出向き、合わせて街の中、ショッピングモール、博物館などを視察してまいりました。以下にそこで目にした色やサイン表示について、いくつかのトピックスをお話ししましょう。

○タイで赤や黄色の服を着るのは気をつけた方がいい  

 タイでは、10年近くにわたり2つのグループの対立と争いが続いています。一つは現政権(タクシン元首相派)を支持する「反独裁民主戦線UDD」。赤いシャツを着ているので赤シャツと呼ばれます。対する反政府派は「民主市民連合PAD」と名乗り2006年に結成されました。当初は黄色いシャツを着ていたのでこちらは黄色シャツです。UDDは地方の農民や労働者など貧困層が多く、反政府のPADは軍、司法、官僚、実業家、先生など、都市部の中産階級、インテリ層が参加しています。
 赤シャツのシンボルカラーの赤は、赤白紺の縞から成るタイ国旗の赤で、国家と国民の団結心を表します。一方の黄色は、現国王のラーマ9世(プミポン国王)の誕生日の曜日から選ばれています。タイでは、生まれた日の曜日を大切にし、曜日ごとに色や仏像が決められており、その色のものを身につけたり、その仏像を拝むと幸運がもたらされると考えられています(下表)。日本での星座占いのようにタイでは生まれ曜日占いが盛んです。国王の生まれ曜日は月曜なので黄色が王様の色となります。つまりPADは王室を敬うことをアピールするため、国王の生まれ曜日の黄色を身にまとったのです。バンコク市内には反政府側のPADが多く、そのためUDDの赤い服の着用はご法度というわけです。

生まれ曜日と色
曜日
桃色

珍しい優先席マーク  

 図はスカイトレインと呼ばれる高架鉄道の車内でみかけたサイン。妊婦と高齢はわかりますが子どもがマークに入っています。考えてみれば子どもは肉体的には大人よりも弱者ともいえますね。そしてお坊さん用シート。これは仏教国ならではの尊敬の表れでしょう。他には、行商禁止のピクトも面白かったです。

○派手なタクシーカラー  

 個人の一般車は白、黒、シルバーがほとんどですが、タクシーはイエロー、マゼンタ、シアン、赤、緑、橙など、それもビビッドトーンですからとても目立ちます。以前、赤木常務理事による詳細な分析がColor No.156に掲載されていますので、色研HPをお読みください(<資料>道路景観と車の色)。

○扇風機からカラー家電の波か?  

 台所家電やAVなどの家電の色は、日本同様、白やシルバー、グレイ、黒などが大半を占めます。ところが扇風機の色はイエロー、マゼンタ、シアン、ピンクなど、華やかな色がとても多いです。なお、最近販売されている日本製のビビッドな色の1BOX蔵庫は要注目と思います。カラー家電ブームが起こるかもしれません。

○紫色が暮らしの中に  

 日本ではほとんど見かけない紫色が、駅のサインや手すり、掃除機・扇風機、企業カラーやATM、ビルの内外装などに使われていました。これは新鮮でした。

珍しいサイン表示
色とりどりのタクシー
カラフルな扇風機
ホームの方向表示
(紫背景の黄矢印)

 以上、バンコクで出会った色についてお話をさせていただきました。なお、色研では本年度も海外共同調査を計画中です。実施国など、詳細が決まりましたらHPに掲載いたしますので、ご関心の向きはお問合せください。

〈名取 和幸〉

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