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<研究1部報> ファッションカラートレンド50年

COLOR No.148掲載

7月末に新しい資料集「ファッション・カラートレンド50年 ―女性服装色の定点測色調査―」を刊行しましたので、ご紹介させていただきます。

ファッション・カラートレンド50年の表紙

日本色彩研究所では1952年から半世紀以上、銀座の街頭で、春夏秋冬ごとに、女性の服装色の測定を継続しています。この服装色データは、色彩の時系列定点観測としては、世界的にも貴重なデータといえます。本書は1955年から2005年までのデータと、さまざまな角度から統計解析した結果を掲載しました。
この半世紀の間には、われわれを取り巻く社会や文化、そして人々の意識に大きな変化がありました。特に、経済的には世界史上稀有の高度経済成長を達成し、バブル経済に突き進み、バブル崩壊という大きな転換を経験してきました。そして、ファッションの世界も目まぐるしく転変してきました。その間に、女性たちの装う色はどのような移り変わりを見せたのでしょうか。その変遷の実態を客観的にたどったとき、どのような特徴が現れるでしょうか。ここでは、本書データのいくつかをご紹介したいと思います。

図1 スカート類とパンツ類の出現率の推移
図1は1993年から2005年までのスカート類とパンツ類の出現率の推移を示したグラフです。
パンツ類の出現率は1980年代後半から1990年頃までは10%〜15%程度で推移していました。
90年代になると、パンツ類は増加傾向を示し、1996年頃から両者の出現率は拮抗するようになり、2002年頃にはパンツ類がスカート類より少なくなることはなく、以後、数的優位はより顕著になっています。

図2 黒の出現率の推移

図2は黒の出現率(四季平均)の推移を1955年から5年ごとにプロットしたグラフです。このグラフに示されているように、1980年代前半までは10%程度で推移してきましたが、1983年頃から出現率は増加し始めます。この時期の黒増加の背景には、1981年から1982年にかけて、有名ファッションデザイナーによる黒中心のコレクションの流行があると考えられます。その後、黒の出現率はさらに上昇を続けます。そして、2005年には1色で30%という、これまでにどの色も達し得なかった驚異的な数値を叩き出しています。
現在はまさに黒ブームで、かつては白物が中心だった、トイレットペーパー、綿棒、歯ブラシ、さらにまな板といった商品にまで黒いものが現れ、話題となっています。
今後、黒の出現率が上昇を続けるのか、減少に転じるのか、注目されます。
また、黒といえば、かつては冬・秋のアイテムに多く、季節感を感じさせる色でしたが、最近では、いずれのシーズンでも出現率は高く、季節に関りなく身に着けられる便利な色となっています。

以上、内容のごく一部をご紹介させていただきましたが、ぜひ、本書を色彩一般、ひいては文化・社会現象の変動を理解するための一助としてご活用いただきたいと思います。 <江森敏夫>

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