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<研究2部報>照明用光源(LEDを含む)の演色性評価方法に関する調査研究

COLOR No.146掲載

この委員会は、照明関連の国際規格を積極的に提案するために国内の7つの照明関連学協会(日本照明委員会、照明学会、日本色彩学会、日本建築学会、日本人間工学会、日本電球工業会、日本照明器具工業会)が参加している照明関連国際規格委員会のWGとして平成17年度に発足し、本年度からは社会ニーズ対応型基準創成調査研究として活動している。LEDの効率向上に伴って、LEDが一般照明用分野に拡がりつつある現状を踏まえて設置が要望されたものである。周知のように一般照明用に使用される白色LEDは、図1のように発光スペクトルが急峻なものが主流であることから、蛍光ランプ等の一般用照明光源と色の見え方が異なることが懸念されている。照明光が物体の見えに及ぼす影響を演色というが、これを光源の特性と考えたときには演色性といっている。光源の演色性を評価する方法は、JIS Z 8726(光源の演色性評価方法)で規定されており、15色の試験色を照明したときに、基準となる照明光で照明した色と、どのくらい違って見えるかを色差で表し、演色評価数を計算する方法が採用されている。この方法では、試験色の見え(三刺激値)が基準となる照明光と同じ場合に最もよい演色評価数100になり、色が違うと色差に一定係数(4.6)を掛けて減点され、色差が21.7で演色評価数が0になる。市販されている一般照明用光源でも色差が大きくなりすぎて、マイナスの演色評価数になることもあるため、以前から評価方法の改正が何度か検討されている。現状の白色LEDの演色評価数は、8色の試験色を選んで平均した平均演色評価数Raが、最も良いものでも85以下程度である。しかし、その照明下で感じられる演色性は、人によっては実際の数値より高い印象が持たれる場合がある。白色LEDの演色評価数が低くなる理由は、基準となる照明光との間に色差が生じるためであるが、このときの色差は、基準となる照明光より白色LEDで照明した試験色がより鮮やかに見えることによる色差である場合が多い。色が鮮やかに見える照明環境では、明るさ感が大きくなり、好ましい変化として受け入れられる傾向にある。JIS Z 8726の演色評価数では、色がどのように変化しているのかを考えていないために、このような演色性を持つことの多い発光スペクトルが急峻な光源では、印象とのズレが生じる。また、広帯域な発光スペクトルを持つ一般用照明用光源では、それを前提にして選ばれた15色の試験色で十分その演色性を評価することができるが、急峻な分光分布を持つ光源では、試験色の種類によって異なった結果が得られる。白色LEDの普及を契機に演色評価方法の見直しが求められ、CIEでもTC1-62(LED光源の演色性)が設置されて検討が始まっている。

現在、日本で提案が検討されている方法は、標準イルミナントD65を基準光として、カテゴリカルカラーネーミング(red、green、blue、yellow、purple、brown、pink、orange、white、black、 gray)による色の見えのデータに基づいて、試験光下でのデータがどの程度一致しているかを数値化した方法と標準イルミナントD65と試験光下での配色の目立ち感を数値化した方法がある。どちらの方法も色知覚モデルが用いられており、標準イルミナントD65を基準光としていることが、複数の基準光を使用しているJIS Z 8726と異なっている。米国でも、高彩度色票15色を新しく試験色に選定し、基準の光と比較して鮮やかな方向に色ズレが生じても減点しないで指数を計算する方法が提案されている。

当研究所では、JIS Z 8726に規定されている試験色を照明学会の依頼によって製作したことがある。演色評価数は、試験色の分光反射率が規定されれば、実際の試験色が無くて計算によって求めることができるが、その評価方法を検証するには具体的な試験色が必要になる。実際の色票等によって仕様が決められれば継続的な試験色の供給が可能になり、産業応用としても好ましい方向と考えられるので、今後も委員会活動に参加していく予定である。 (研究第2部 小松原 仁)

図 白色LEDの分光分布の測定例

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