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<研究2部報> 日本色彩研究所 研究員の参加している委員会情報

COLOR No.144掲載

高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−
年齢を考慮した基本色領域と色の組み合わせ方法JIS原案作成委員会

独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)と独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が原案作成団体として JIS原案作成のために設置した委員会で、看板、標識などの視覚表示物に用いる識別性の高い色の組合わせを作成する方法を 制定することを目的としている。
2色の色を比較したときに、色の類似性を「類似している−類似していない」の2件法によって判断することができる。 このような判断をJIS Z 8102(色の表示方法−物体色の色名)で規定する傾倒し記名の基本色名13種類の代表色について行った結果から、 基本色ごとに、一定以上の類似性確率を有する色領域を基本色領域と定義する。このJISでは、基本色領域は類似性の高い色の領域であるため、 この領域に属する色同士の組合わせは、識別性の高い組合せとは言えないと考えて、色の組み合わせ方法を規定している。
基本色領域のデータは、高齢者(60歳代から70歳代)及び若年者(20歳代)を対象に、明所視(500lx)及び薄明視(0.5lx)の下で、AISTが行った実験結果が用いられている。高齢者は若年者と比較して基本色領域が狭く、この傾向は薄明視においてより顕著になっている。
JISでは、高齢者は基本色領域が狭いために、どの基本色と組み合わせても、高齢者にとって識別性が高い組み合わせが得られやすいとしている。しかし、高齢者にとっては、同じ色として同定できる範囲が狭いことから、安全色のように色に意味を持たせた標示物では、色の許容範囲を狭くしてやらないと正確な伝達ができないということを示すデータとして、より有効と言えるかもしれない。
また、色の組み合わせには、色覚異常者への配慮も必要であり、JISに規定された基本色の組み合わせ表の活用には注意が必要である。
このJIS原案は平成17年5月にAISTのウェブサイトに公開され、パブリックコメントの手続きを終了している。

航空障害標識等の見え方に関する調査(U) 特別研究委員会

煙突や鉄塔など60m以上の高さを持つ物権で見かける赤(又は黄赤)と白の帯状の標識は、航空機の航行の安全を目的に、航空法の規定に基づき、物件の設置者に設置が義務づけられている。航空障害標識には、航空障害灯と昼間障害標識の2種類があるが、航空法施行規則第132条の2では、昼間障害標識設置物件として、煙突、鉄塔、柱その他の物件でその高さに比しその幅が著しく狭いもの、骨組み構造の物件、架空線及び繋留気球、ガスタンク、貯油槽その他これに類する物件で、背景と紛らわしい色彩を有するため航空機からの視認が困難であるものとしている。
しかし、景観色彩に関する意識の変化にともなって、どこからも視認しやすい昼間障害標識は、景観を損なうという観点から、清掃工場の煙突などでは、航空障害灯を代替設置することによって昼間障害標識を設置することなく、景観形成に配慮した設置例が増えている。このような現状をふまえ、国土交通省航空局は、航空障害灯等の規制のあり方に関する検討会を平成14年6月に設置し、ビル及び景観関係者、運行者及び一般からの意見に基づいて規制緩和の方向性を、平成15年5月に取りまとめている。
この規制緩和の方向性について、専門家としての定性的・定量的見地からの調査・検証に関して、
(社)照明学会に委託があり標記委員会が設置された。この中で、高さ150m未満の大きく太い煙突等で、その幅が高さの20分の1以上ある場合で、一定条件を満たした塗色を施すことにより、昼間障害標識の設置を不要とすることが提案された。塗色の一定条件としては輝度対比、面分割と配色パターンがあり、その具体的な実施要領の作成に研究1部の赤木部長が協力した。ライトアップ等による航空障害灯の代替措置など、今日的な都市空間での規制緩和措置も委員会報告書に盛り込まれている。
この委員会報告を受けて、平成15年12月25日付けで航空法施行規則の一部を改正する省令が公布施行され、平成17年8月に航空障害灯/昼間障害標識の設置等に関する解説・実施要領が公開されている。(www.mlit.go.jp/koku/03.information/08_syougai/index.html))
規制緩和に対する姿勢は、当然、設置者と運航者とでは異なる。今後、より一段の規制緩和が予想されるが、依然として架線との接触等による事故が起きており、視認性を優先させる安全標識と景観との折り合いをどこにつけるかが問題になると思われる。   (研究第2部 小松原 仁)

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