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表紙【COLOR No.146掲載】

いのちを纏う 色・織・きものの思想

志村ふくみ・鶴見和子著
本体価格 : 2,800円
出版 : 藤原書店
発行年月 : 2006年4月


色彩研究所に入所して間もない頃(S49)、筆者の学生時代の友人の母で、民藝運動の作家達と親しい婦人から、草木染の作家の個展が銀座であるから是非見るようにと案内状が届いた。
早速、資生堂ギャラリーを訪ねて驚いた。天然染料は渋く、鈍い、地味な色調のものという先入観念を打ち破る華やかな色彩が会場に溢れていた。特に本書の冒頭の口絵「蘇芳無地」の鮮明さは衝撃的で、釘付けになったことを今でも思い出す。
その後、紹介してくれた方の予言どおり、志村ふくみさんは人間国宝になり、草木染の作家として現代日本を代表する作家となった。最初のエッセイ「一色一生」では文章表現の見事さで大佛次郎賞を受賞、エッセイストとしても見事な作品の数々が評価されている。

本書は、社会学者であり、きものを愛することでも有名な鶴見和子さんとの対談を収めたものである。
作品の数々を系統的に滋賀県立近代美術館に寄贈した記念に開催された「志村ふくみの紬織り」展を見て、「色」「きもの」を通して語られる日本文化、思想についての話は経・緯の糸が交差する織物のように様々な人物が登場し、興味が尽きない。
特に、草木染で苦心している中で出会った「ゲーテの色彩論」「シュタイナーの色彩の本質」についての志村流解釈は、現場で色と格闘していればこその発見なのかも知れないと納得させられた。
<松井英明>

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