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<研究1部報> 反対色が見える回転板

COLOR No.152掲載

図1 反対色が見える回転板今回は、回転板を用いた新しい主観色をご紹介します。

この回転板は福田玄明,植田一博(東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系)両氏が2009年のBest Visual Illusion of the Year Contestに発表した作品です。このコンテストは、世界中から新しい錯視を募集し、トップ10に絞り込んだ中から、トップ3を決めるというもので、2005年から開催され、今年で第5回目を迎えています。この回転板はトップ10には残ったのですが、残念ながらトップ3には選ばれませんでした。
その回転板ですが図1のように、3本の黒い弧がシアン・マゼンタ・イエローの領域の上に描かれています。この回転板を回転させると、弧によって描き出された環状の軌跡の部分に、主観的な色が現れてきます。出現する主観色は、外側からレッド系、ブルー系、グリーン系の色で、各位置に対応する弧が属する領域の反対色になっています。
図2 手動回転混色器による実行例
この回転板の回転をシミュレートした動画はBest Visual Illusion of the Year Contestのサイトで見ることができます。しかし、この動画も回転板の回転角を少しずつずらして表示しているだけなので、観察環境によってはあまりきれいに回転しているようには見えない場合もあります。それでも、私が確認した数台のコンピュータでは、この回転板による主観色を確認することができました。
そこで、実際にこの板を作成して回転混色器で回わせば、もっときれいに見えるかもしれないと思い、早速作ってみました。といっても、ただ図1の図版をコンピュータで作成し、プリンタで出力したものを切り抜いただけですが…。この作成した回転板を手動の回転混色器で回してみたものが図2です。黒い弧が描き出した軌跡には、外側からレッド系、ブルー系、グリーン系の色がはっきりと確認できました。コンピュータによるシミュレーションに比べて格段に美しく主観色が現れ、感動的ですらありました。
この錯視は、回転がとても速くて各領域の色を知覚できなくても観察することができます。両氏によれば「この錯視は、それらを意識していなくても、我々の脳は各領域の色を処理し、その反対色を出力することを示している」とコメントしています。

錯視といえば、色彩研究所から今年6月発表したCD-ROM版「視覚の不思議」には、明暗や色による錯視、幾何学的錯視、運動の錯視など100点以上が収められています。詳しくはhttp://www.jcri.jp/の製品案内でご確認ください。
また、今回使用した手動の回転混色器は、色彩士検定の教材「Color Mixture Wheel」を使用しました。この教材につきましては、下記ホームページをご覧下さい。
http://www.colormaster.org/

REFERENCES
1 Best Visual Illusion of the Year Contest
http://illusioncontest.neuralcorrelate.com/cat/2009
<研究第1部 江森敏夫>

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